ピエールとリュース読書感想文コンクール

●優秀作品発表

ご応募ありがとうございました。選考の結果、下記作品二篇を授賞作として掲載いたします。


①東京都・植松晃一さん

恋をしよう。そこから愛を学べ

本作は第1次世界大戦下のパリを舞台に、初恋が芽生え、摘み取られるまでの、青春の2カ月間を描いた物語である。
初恋は、環境の変化によって終わることが多いと思う。小学校から中学校へ、中学校から高校へ、高校から大学へ、日常の風景も、生活圏も移り変わっていく。人生の階段を登ることで互いの世界が広がり、考え方も、感じ方も変わっていく。その変化によってもなお、生き続ける初恋は少ない。
真剣だが、未熟な初恋は、桜のように散る。はかなく、胸を締めつけるものである半面、純白の綿毛のように汚れなく、時を経るほど甘くなる。環境の変化により否応なく終わりを迎えるからこそ、初恋は水彩絵の具で描いたように淡く、明るい色彩のまま、最期まで優しい記憶として魂に刻まれるのだろう。逆説的だが、叶わないからこそ、初恋は初恋として成就するといえるのかもしれない。本作は反戦文学として読まれることも多いが、そこに初恋の運命が象徴されているからこそ、100年後の異国の私たちにも共感をもって読まれるのではないか。
本作の作者であるロマン・ロランは、ピエールとリュースの死を暗示して物語を終える。彼らが幸福だったか、不幸だったか、それは誰にも決められない。
しかしもし、2人とも生き延びていたら、彼らはどうしただろうか。もし片方だけ生き残ったとしたら、どうだろうか。狂信的な憎しみに身も心も焼き尽くされてしまっただろうか。底なしの絶望に沈み込んでしまっただろうか。それとも……。本作を読んだ人びとのこれからの生き方が、2人の魂の行方を暗示してくれるはずだ。
私たちが暮らす世界は今もなお、本作の舞台である第1次世界大戦当時と変わることなく、人間をないがしろにしてやむことがない。国や立場を変えてみれば、至るところに殺し合いや奪い合いがあり、悲惨の中で無垢な魂が涙を流している。本作は過去の物語ではない。現代の物語でもあることを忘れてはならないだろう。
本作を読み終えたなら、若者よ、恋をしよう。恋は散り去るとしても、そこから愛を学べ。


②千葉県・日野剛広さん

愛する人を得る。愛する人を失う。それに伴う狂おしいまでの感情。しかし戦争はそうしたものすら完膚なきまでに破壊し奪い去る。
幸せの絶頂の最中にじわじわと押し寄せる不安と恐怖。そして突然訪れる死の影。
それに対し悲しみ、悔しさ、怒りを感じられないのならば、もう人間ではない。
悲しみと悔しさと怒り。
戦争を「感情」で語る事の愚かさを説く人間がいたとしても、「感情」こそが戦争に抗う為の最大のアンチテーゼとなり得る事を、本書を読み改めて強く認識した。





●応募締め切りました。
 訳者選考の結果、2通が優秀作品に選ばれました。



ロマン・ロラン著、渡辺淳訳『ピエールとリュース』の刊行を記念して、感想文コンクールを開催します。鉄筆文庫『ピエールとリュース』をお読みになり感想文をお送りください。優秀作品には鉄筆社特製の図書カード(1000円分)を進呈します。優秀作の選考は訳者と鉄筆社で行ないます。
本作は主人公・ピエールの年齢が18歳であることから、高校生や大学生、中学生の方々に、とくに読んでほしい作品です。そして彼らを見守る大人の方々にも一読を希望します。

●応募締切
2016年3月31日(木)

●賞
優秀賞(10名)……特製図書カード(1000円分)

●募集内容
鉄筆文庫より刊行された『ピエールとリュース』(本体600円+税)をお読みになり、感想文をお送りください。文字数の制限はありません。あわせて氏名、年齢、校種と学年(職業)、性別を明記してください。

●応募方法
応募はメール送信に限ります。
下記のメールアドレスまで送信してください。
teppitsu@gmail.com

●参加資格
不問。

●結果発表
受賞者に直接連絡のうえ賞品を発送。受賞作品を本ブログ上で発表します。

●注意事項
入賞作品は鉄筆公式サイトのほかTwitter、Facebook等で活用させていただくことがあります。

主催 株式会社 鉄筆